ホルモンと病気

ホルモンとは

からだを正常に保つために重要な情報伝達物質

ホルモンの発見は医学史上の大発見と言われます。どれほど重要な発見であるかは、ホルモンに関連した研究によって20人を超える研究者がノーベル医学賞、化学賞を受賞したことからも明らかです。

そもそもホルモンとは一体何でしょうか。
ここでお話しするホルモンは、もちろん焼肉のホルモン焼きとはまったく別物です。

ホルモンはギリシャ語で“興奮させる”の意味であり、ホルモンは血液の中にごく微量存在し、体の健康維持を調節する働きがあります。ホルモンは内分泌細胞(ホルモンを作る細胞)から分泌され、血流を介して標的細胞(ホルモンを受け取って仕事をする細胞)まで運搬されてその作用を発揮します。つまり、細胞と細胞との間の情報伝達を行う情報伝達物質の総称が「ホルモン」と言われます。このようなホルモンを介した情報伝達方法を「内分泌」と言われます。

現在、身体の中には100種類以上のホルモンまたはホルモン様のものが見つかっていますが、それぞれのホルモンが身体を正常に保つために非常に重要な働きを担っており、ホルモンの不足や過剰は身体にとって深刻な問題を生じかねません。そのようなホルモンの異常を引き起こす病気を内分泌疾患といいます

糖尿病はホルモンの病気

血糖値を下げるホルモン「インスリン」

血糖値が高くなる糖尿病は、ホルモン異常が原因でおこる病気です。

からだの中では血糖値を上げるホルモンと、血糖値を下げるホルモンのバランスによって、ちょうど良い血糖値を保つように調整されています。血糖値を上げるホルモンには、グルカゴン、成長ホルモン、コルチゾール(ステロイド)、アドレナリンなどたくさんある一方で、血糖値を下げるホルモンは、すい臓から分泌される「インスリン」と呼ばれるホルモンだけです。そのためインスリンの量や働きが低下することで、血糖値が上がります。

人類の長い歴史においてヒトの体は常に飢餓(食料不足)との戦いでした。なかなか食事(糖分)を摂ることができなくても、血糖値が下がらないようにする工夫として、血糖値を上げるさまざまなホルモンが存在すると考えられています。

ところが、人類史上経験のない飽食の現代社会では、たくさんの食事(糖分)を摂ることが当たり前になりました。今では、むしろ血糖値が上がらないようにするために、まさにインスリンが孤軍奮闘しているといった状態です。

現代社会の食生活は、インスリンを作るすい臓に負担をかけることで、インスリンの産生量を減らします。また、肥満によってインスリンの効きは悪くなります。これらの理由から、血糖値が下がらず、糖尿病となる患者さんが増えています。

高血圧の原因にもなるホルモン異常

危険な高血圧、その正体は「原発性アルドステロン症」

高血圧は、多くの場合、加齢や塩分のとりすぎや運動不足などの生活習慣が関係しています。ところが、最近の研究により高血圧の約10%の人では「原発性アルドステロン症」というホルモンの病気によって、生活習慣に関わらず高血圧が起きているとわかってきました。

アルドステロンは、「副腎」と呼ばれる臓器から分泌されるホルモンです。副腎は、腎臓のすぐ上にある3cmほどの小さな臓器ですが、副腎皮質ホルモンと副腎髄質ホルモンというホルモンを分泌しています。アルドステロンは副腎皮質ホルモンの1つですが、腎臓での塩分の再吸収を促進し、体内の塩分を増やす作用があります。そのため、アルドステロンが過剰に分泌されると、食事から塩分をとりすぎていなくても、血圧が上がってしまいます。

原発性アルドステロン症では、アルドステロンが過剰に分泌されることが原因で高血圧になりますが、普通の高血圧と大きく異なる点が2つあります。

1
原発性アルドステロン症には一般的な高血圧の薬では不十分

原発性アルドステロン症による高血圧は、血圧を下げるだけでは心筋梗塞、脳梗塞、心不全、不整脈(心房細動)を予防することはできません。その理由は、過剰なアルドステロンは血圧を上げるだけでなく、心臓や血管を直接傷つけるためです。 そのため、原発性アルドステロン症の患者さんには、一般的な降圧薬(血圧を下げる薬)ではなく、アルドステロンのはたらきを抑える薬を内服する必要があります。

2
原発性アルドステロン症による高血圧は手術で治る

原発性アルドステロン症の約半数は、副腎の腫瘍が原因となります。その場合、原因の腫瘍を手術で取り除くことで、高血圧が治癒することが期待できます。

原発性アルドステロン症は、決してまれな病気ではありません。血液検査で診断が可能です。高血圧の方は、一度専門医の精密検査を受けることをお勧めします。

原発性アルドステロン症の可能性が高い方の特徴

下記のうち一つでも該当する方は、原発性アルドステロン症の可能性が高いです。

  • 収縮期血圧(上の血圧)が160mmHg以上もしくは拡張期血圧(下の血圧)が100mmHg以上の高血圧
  • 2種類以上の降圧薬(血圧を下げる薬)を使用
  • 血液検査でカリウム値が低いと言われたことがある
  • 脳梗塞、心筋梗塞を患ったことがある
  • 比較的若い高血圧の方(50歳未満)、または若いときから高血圧と言われた
  • 女性
  • 副腎に腫瘍がある
  • 睡眠時無呼吸症候群がある

様々なホルモンの病気

そのほかにもホルモンの病気はたくさんあります。専門ページを参考にしてください。

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