脂質異常症(高脂血症)

脂質異常症(高脂血症)とは

脂質異常症(高脂血症)は動脈硬化(脳梗塞や心筋梗塞)の危険因子

脂質異常症(高脂血症)というのは、血液中の脂質、具体的には「コレステロール」や「中性脂肪(トリグリセライドなど)」の濃度が高い状態のことです。

脂質異常症には、大きく分けて次の3つのタイプがあります。

高LDLコレステロール血症(悪玉コレステロールが高い):140 mg/dL以上/低HDLコレステロール血症(善玉コレステロールが低い):40 mg/dL未満/高トリグリセライド血症(中性脂肪が高い):150 mg/dL以上

脂質異常症(高脂血症)を放置すると、増えた脂質がどんどん血管の内側に溜まって動脈硬化の進行を促進してしまい、ついには狭心症・心筋梗塞や脳梗塞の原因となってしまいます。また、高血圧、糖尿病と同様に自覚症状が無いため、健康診断などの機会を利用して、早期に発見して、適切な対応が必要です。

日本人の死因の第2位と第3位を占めているのは、狭心症や心筋梗塞を代表とする心臓病と、脳出血や脳梗塞などの脳卒中です。これらは主に動脈硬化が原因となって起こる血管の病気です。死因の第1位は「がん」ですが、心臓病と脳卒中を合わせると総死亡の約30%を占めるので、動脈硬化を防いでこれらの疾患を予防することはとても重要です。

動脈硬化というのは、その名のとおり、動脈が固くなる病態です。脂質異常症(高脂血症)があると動脈の壁にコレステロールが溜まり、血管の壁が内側に盛り上がって狭くなり、それとともに血管が硬く、そして脆くなるのです。悪化すると血液の流れが悪くなり(狭窄)、盛り上がった部分が剥がれて流れた先で詰まる(血栓)ことが心臓や脳に障害をもたらします。

動脈硬化は年齢を重なるだけでも進行しますが、さまざまな危険因子によって進行がさらに促進されてしまいます。ですから、それらの危険因子を適切に治療することで進行を遅らせることができます。脂質異常症(高脂血症)は最も重大な危険因子とされており、患者さんにとって実は大切な問題です。

脂質異常症(高脂血症)は、自覚症状がまったく無くても、早期に治療を始めることが重要です。

ホルモンの異常と脂質異常症(高脂血症)

更年期はコレステロールが急上昇

コレステロールに関わる代表的なホルモンとしてエストロゲン(女性ホルモン)があります。エストロゲンは悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の分解・排泄を促進し、善玉コレステロール(HDLコレステロール)の合成を促進します。またエストロゲンには血管そのものを保護する働きもあり、閉経前の女性はエストロゲンの働きによって守られていると言ってよいでしょうか。しかし、女性であっても40~50歳代の更年期にエストロゲンが減少してくると、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)や中性脂肪は急上昇します。60歳代のコレステロール値は、男性よりも女性の方が高くなっているほどです。

他にも甲状腺ホルモンの低下は脂質異常症(高脂血症)の原因となります。このような場合は甲状腺ホルモンを内服することで脂質異常症(高脂血症)が改善します。当院では甲状腺ホルモンの検査を行っています。

脂質異常症(高脂血症)の治療

コレステロールの治療目標値は患者さんごとに異なります

治療目標値(特に悪玉コレステロール)が患者さんごとに異なります。年齢、性別、喫煙の有無、併発している疾患、家族に心臓、脳卒中の病気の方がいるか等を考慮して、適切な治療目標値を設定します。

脂質異常症(高脂血症)の治療は、生活習慣の改善が基本です。その主な内容は、バランスのとれた食生活、適正体重の維持、適度な運動などです。なかでも特に重要なのが食事(食事療法)であり、これは適正体重の維持とも深く関わってきます。しかし、現代社会において、これら生活習慣の改善は容易ではありません。さらに、脂質異常症(高脂血症)はホルモンバランスや体質が大きな原因となるため、一度改善しても、生活習慣を戻すと再度悪化します。一時的な生活習慣の改善ではなく、一生継続可能な生活習慣を見つけることが大切です。上記の生活習慣の改善を3か月行っても治療目標値まで改善なければ、内服薬を使用します。

脂質異常症Q&A

健診でコレステロールが高いと言われました。食事や運動に気をつければ、病院に行かなくてもいいですか?
コレステロールや中性脂肪が高いといっても、その原因や程度は人それぞれです。自分で食事や運動に気を付けるだけでは治すことは難しいことが多く、専門医の指導のもとで食事や運動の改善に取り組み、必要ならば薬を使って、きちんとコレステロールや中性脂肪をコントロールすることが大切です。
脂質異常症(高脂血症)だとわかったら、卵や肉は食べられなくなるのでしょうか?
脂質異常症(高脂血症)の原因によって対応はことなります。卵や肉などコレステロールを多く含む食品を多く摂取されている方は、減らすように指導します。しかし、これらはタンパク質など体にとって必要な栄養素も含んでいるので、過度な制限は好ましくありません。詳しいことは、医師や栄養士の説明を受けましょう。
脂質異常症(高脂血症)だとわかったら、一生、薬を飲み続けなければなりませんか?
原因にもよりますが、コレステロールや中性脂肪があまり高くない方は、食事療法や運動療法だけでこれらの値をコントロールできることがあります。また薬を飲んでいる方でも、適切な値をコントロールできるようになれば、薬をやめることができる場合もあります。一方で、薬をやめると再び高い値になるような方では、薬を再開する必要があります。自己判断で薬を中止することは危険ですので、必ず専門医に相談しましょう。

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